◆ 子供の育ち方と育て方 ◆
神経発達の特殊性
ンギャーと大きな産声を挙げた赤ちゃん、心臓はしっかりと拍動し、
母乳を元気良く飲んで、おしっこや便も大人と変わりなくしますね。
多くの内臓は赤ん坊と大人でそれほど差はありません。大きさと
効率が少し違うだけなのです。

ところが1,2カ月までの赤ちゃんは手を出して物を持つことも、話す
こともできません。つまり運動機能や知的な関心、言葉、記憶、創造力
などの発達については人間としては0からの出発なのです。 脳の大きさ
を考えてみると、生まれた時の脳の重さは約400g, 1歳では800gで
すから、1年間で400g増えますが、1歳から大人になるまでには800
gから1400g,つまり20年近くかけて600gしか増えません。このこと
からしても、まだ物も言えない赤ん坊の時期が神経発達にとっては最も
大切な時期だと言えます。

現象面から見ると、生まれて2〜3カ月まではお乳に吸い付いたり、手
に触ったものを握り締めてしまう、原始反射と呼ばれる動きが強く見ら
れますが4カ月になると、これらは徐々に無くなってきます。6カ月頃
なると、前庭機能と呼ばれる体のバランス感覚が発達し、おすわりや
ハイハイの準備段階に入ってきますし、9カ月頃になると、敵味方の識別
つまり人見知りが始まりますし、言語に近いマンマムといった喃語が
盛んに聞かれるようになります。

このように赤ちゃんの時期は時事刻々と非常に急速に神経が発達する
時期ですから、ミルクが足りなくて脳が成長するための栄養が不足し
たり、咳が強くて呼吸困難が続くと脳に必要な酸素が足りなくなり
神経発達に悪影響を及ぼすことになります。子供の神経疾患で一番
多いのが実はこの神経発達がうまく行かない状態で100人中3人
とも言われますから、育て方の第一はこれらの危険因子を早く取り
除くことなのです。
もう一つ大切なことは、あと1〜2カ月でこんなことができる
はずだと言った予測を立てて、そのための手助けをしてあげることです。
もし予測どうりに出来てこないようであれば、素人判断をせず、早めに
専門家の意見を聞くことでしょう。神経疾患は専門医にしかわからない
ものが多く、早めに手を打てば治療できる例も少なくありませんが、2
〜3歳になって症状が固定してしまうと、医学的には対応できないこと
が多いのも特徴です。

子供の数は年々減少し1993年の出生数はとうとう史上最低で118
万人にまでなってしまいました。このような少子化の時代には、生まれ
た子供を精神的にも肉体的にもより健全に育てることは、ご両親にとって
だけでなく社会的にも非常に大切なことなのです。
(愛媛新聞奥様ジャーナル原稿)

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