こどもの睡眠と発達

 生まれて間もない赤ちゃん、スヤスヤと眠ってばかりで、時々お腹が空くと泣いてお乳を欲しがりますね。生まれて1か月くらいは1日の3分の2くらい眠っていますが、2か月くらいになると夜にまとまって眠るようになり、6か月くらいになると昼寝を2回くらいで夜は7〜8時から早朝まで眠るようになります。

 体は休んでも脳は休まない、眠らないと言われているのはご存知でしょうか。睡眠中も脳のエネルギー消費率は覚醒中と変わらないですし、脳波のふれは覚醒中よりも大きかったりします。睡眠中には、起きている間に見たり聞いたり触ったりなどした事を整理して記憶したり、体内時計の調整をしたり成長ホルモンや甲状腺、副腎皮質刺激ホルモンなどを分泌し、さらには交感神経と副交感神経の切り替えを行なって体温や呼吸、心臓の動きを調整したりしています。睡眠が不足したり、不規則な場合には、体調を崩したり気分や気力面で問題が起こったりすることもあります。子供の睡眠は健やかな成長のために決定的に大切なのです。

 日本小児保健協会の調査によると、1歳6カ月児から5~6歳児のすべてにおいて22時以降に就寝する割合が増加しています。厚生労働省の調査でも4歳6カ月時点での就寝時刻は21時台(50.1%)、次いで22時台(21.9%)とのことです。日本人の平均睡眠時間はOECD33カ国中の最短で、4割が6時間未満と報告されています。つまり親が夜型のために子供も夜遅くまで起きているということになります。乳幼児がスマホやタブレットを見続けると視覚や聴覚的にも受け身になり、ブルーライトで睡眠が不規則になって子供の発達に支障をきたします。

 小児も成人も生活習慣病や適応障害などが増加しているため国もいろいろな施策を打ち出しています。健康づくりのための睡眠ガイド2023こども版には『睡眠不足によって肥満のリスクが高くなること、抑うつ傾向 が強くなること、学業成績が低下すること、幸福感や生活の質(QOL)が低下すること』 と記載され、推奨事項として
⚫ 小学生は9~12時間、中学・高校生は8~10時間を参考に睡眠時間を確保する⚫ 朝は太陽の光を浴びて、朝食をしっかり摂り、日中は運動をして、夜ふかしの習慣化を避けるとされています。

  不登校やADHDをはじめ発達に問題のあるお子さんが増えており、小学入学時に初めて気付かれることもしばしばです。そのためこども家庭庁は5歳児健診とともに1か月児健診を国の予算で行うようにしました。こどもの発達が上手くいっているか確認するためにも健診は欠かさず受けるようにしましょう。